葉をまとふなく春深し

読書録を中心に、大学4年間の文学日記。

いま、島で

 超新星はいつまでも色褪せない。
 感銘読録、第2回目は『兎の眼』『太陽の子』の灰谷さんによるエッセイです。

いま、島で (角川文庫)

いま、島で (角川文庫)

 

 いま、島で

 エッセイという分野は、日常の細かいことを綴るので、その作家の「生きている」姿が眼前にまざまざと現れてくる。私はそれが楽しみでエッセイを読むが、やはり文章なので、テレビの生中継のようにはいかない。

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超新星みたいに、すごく美しくこちらには感動・感銘が与えられるんだけれど、……実際にはその超新星はもう遥か昔に死んでる星。文章は特に、それが書かれて、新しいうちに読める場合って殆どないだろう。灰谷さんは、人生の中で本当に試行錯誤しているのがわかる。日々考え続け、成長し続けた人だから、このエッセイはいつまでも古くない。

(感想文=2011年3月 読書メーター投稿、id:saho417/PN:春)f:id:saho417:20140816194018j:plain

 (文中写真撮影=春)

追記

 灰谷さんは2006年11月に亡くなりました。

 本という媒体は、やはり超新星のような輝きで私たちに大事なことを示しつづけているのですね。

 空を見上げるかどうかは、一人ひとりに委ねられているけれど、私はこれからも多くの先輩方が残してくれた星を見つめてゆきたいし、より多くの人が空を見上げてくれればと思います。